「福祉×企業 マッチング事例セミナー」レポート(後半)

2025年3月4日福井駅前ワークラウンジPLYACE内にあるCreamでおこなわれた「福祉×企業マッチング事例セミナー」後半は、株式会社アイジーエー 執行役員 市村直氏のお話から。
「誰であろうと挑戦でき、達成感が得られ、楽しむことができければ」
株式会社アイジーエー 執行役員 市村直 氏
全国に74店舗を構える「axes femme(アクシーズファム)」や、オンラインショップを運営するアイジーエーでは「ワクワクドキドキつながる社会を実現する」をテーマに、様々な取り組みにチャレンジされています。アパレル業界の課題である廃棄問題を重く捉え、「廃棄ゼロ」を目指し、売れ残った商品や古着をアップサイクル。シュシュやエコバックなどブランドファンの心を掴む商品に蘇らせています。
それらの縫製、製造を担っているのが福井県セルプ振興センターをはじめ県内の障がい福祉事業所です。ひとつひとつデザインが違う洋服からの生地の切り出しはとても難しく、たくさんの検討事項があるといいます。
アイジーエーからの発注デザインに対し、製造を担当する障がい者の方から「バッグの下にレースが入ってた方がかわいいのでは?境目はこのまま使ってはどう?」と次々に提案があがります。たくさんの議論(時には喧嘩?)を重ね、商品が出来上がります。この福祉×アパレルの関係は3年ほど前から始まりました。発注が多くなる際には納期管理も含め相談し、取り組みを進めているそうです。
また、撮影スタジオなど様々な機能を持つ本社・物流センターでも沢山のチャレンジをされており、チャレンジによって新しい仕事がどんどん出てくるそうです。「最初は難しいことも多く苦労もあるが、少しずつ少しずつ誰にでもできることころに持っていく」と市村氏はいいます。
障がいのある方でも数字を読むことができればこなせる業務もあるそうです。「誰であろうといろんなことに挑戦ができたり、達成感が得られたり、楽しめたりっていうところに向かっていければ」市村氏のその言葉はスタッフの方々のイキイキとした写真に表れていました。
クロストーク 福祉×企業×クリエイティブの可能性
ぴーぷるファン田辺氏 ×アイジーエー市村氏 ×福井県セルプ柑本氏 ×六感デザイン野路氏
クロストークでは一つのお仕事からどのように仕事を派生させるか?について田辺氏から「営業は、やはり人と人とのつながりが大切。話をして困りごとを見つけることで仕事になる」といった意見から、一つの柱=得意分野から新しいことに挑戦することについてのお話に。難しい依頼でも意見を出し合いながら進めることで少しずつ柱が増える。チャレンジが利用者さんのやりがい・充実感につながっていると福井県セルプ柑本氏。
また利用者さんのやる気と意欲を育てるには?の問いには、田辺氏が大学の教授から教わったのは「やる気と意欲だけ育てたいというのは問屋が卸さない。やる気も意欲も感情のひとつ。その感情全体がふわっと広がった時、初めてその中にあるやる気というものが、一緒に育っていく。美味しいとか、嬉しい、楽しい、嫌だ、癒やしとか、そういうものを一緒に体験することが一番大切」その言葉をもとに、毎週土曜には料理などのレクリエーションや、働かない日=リフレッシュデーを設けたり、コンテストに出場したりしているそうです。
これらの活動が利用者さんのみならず、職員さんのスキルアップにもつながっているとのこと。活動を始めてから、利用者さんのこころとからだ両方の健康につながり、出席率はおよそ95〜98%と大幅に改善されたということです。質疑応答では、企業と福祉の出会うきっかけや、在宅での受託についての質問が寄せられていました。
今回のセミナーのテーマは福祉×企業×クリエィティブのマッチングを増やし、障がいのある方の「幸せ就労」をおしすすめることでしたが、”ワクワクドキドキすること” ”感情を育てること” が豊かな人生につながる。これらのキーワードが誰にとっても大切な学びとなるセミナーでした。フクション!でもワクワクドキドキ感情が喜ぶセミナーやイベントを、企画していき、たくさんの方々に福祉にアクションを起こす(フクション!)の一員になって欲しいと考えています。